時価総額1952億円!高まりを見せる「Vtuber」市場を一から解説!

2022年6月8日、「バーチャルYouTuber(Vtuber)」事務所「にじさんじ」を運営する株式会社ANYCOLORが東証グロースに上場しました。上場翌日の株価はストップ高となる5510円まで上昇し、翌10日もストップ高の6510円まで値上がりするなど、株式市場を大いに盛り上げる存在となっています。それほどまでに盛り上がりを見せている「Vtuber」とは、いったいどんな存在なのでしょうか?

「アバター」に「魂」の入った存在

 そもそも「Vtuber」とは、一言で言うなら「2D、または3Dのイラストを使っている動画・ライブ配信者」のことを指します。これまでのYouTuberと言えば「自分で企画・演者・編集等すべての作業を行う配信者」を指すことがほとんどでしたが、Vtuberの動画はイラストに声優など配信者が声を合わせ、さらにモーションキャプチャーを利用してリアルタイムな動きを表現する形で動画を作成しています。

アニメと決定的に違う点は、Vtuberの圧倒的な「実在性」です。アニメであればキャラクターの設定が存在し台本通りのセリフが必要となりますが、一方でVtuberにもキャラクターとしての設定はあるものの、リアルタイムのやり取りが多い分演者の「素の表情」が鮮明に視聴者に伝わることで、より親近感を持って接することができる存在になっているのがVtuberです。こうした背景から、Vtuberの声をあてる演者について「魂」と称する人も少なくありません。

テレビを超えた!?Vtuber業界の勢いが止まらない

 そもそも「バーチャルYouTuber」という言葉を公式に使い始めたのは、2016年に活動開始した「自立型AI」を自称する「キズナアイ」と言われています(現在は「スリープ(活動休止)」中)。その後「ミライアカリ」「輝夜月」「電脳少女シロ」など一般的なYouTuberと同じく1~10分程度の動画を中心とした活動が進んでいましたが、2018年ごろから活動者が徐々に増え、現在その数は約16,000人(2021年10月現在、ユーザーローカル調べ:https://www.userlocal.jp/press/20211019vs/)と言われています。

 中でも特徴的なのは、これまでのYouTuberと異なり「ライブ配信」が主流であることと言えるでしょう。特にここ2年、新型コロナウイルス感染症の流行により大規模なイベントなどの開催が難しくなる中でライブ配信の需要が急増。そのライブ配信に対して視聴者がスーパーチャット(投げ銭)を行う形でのコミュニケーションが主流となり、1~6時間程度の配信はもちろんのこと、中にはゲーム実況で22時間超配信し続ける強者も登場するなど、配信の熱はどんどん加熱しています。

そうした業界の盛り上がりを裏付けるように、先述のANYCOLORは売上高で前期比85.5%増の141億6400万円、営業利益は41億9100万円と予想を大幅に超える2022年4月期の決算を発表し「ANYCOLORの時価総額がフジテレビを超えた」とネット上でも多くの話題を集めました。ANYCOLORの運営する「にじさんじプロジェクト」に限らず、アイドル的Vtuberを多く輩出する「ホロライブプロダクション」を運営するカバー株式会社、テレビ番組でも人気を博す「電脳少女シロ」所属の「.LIVE」を運営する株式会社アップランドなど、事務所の数も増大。エンタメ業界以外からも大きな注目を集めています。

Vtuber×観光?! マーケティング施策の様々

 それではここで、Vtuberを利用したマーケティング施策について、いくつかの事例を見てみることにしましょう。

 まずご紹介するのは、毎年ブランド総合研究所が発表している「都道府県魅力度ランキング」で、2019年まで7年連続最下位という不名誉な記録を更新中だった茨城県の事例です。インターネット上で「魅力がない」と揶揄されるなど、散々だった茨城県が最下位を脱出したのが2020年のこと。その立役者の一人としてあげられたのが、茨城県後任Vtuberの「茨ひより(いばら・ひより)」さんでした。官公庁の「お堅い」イメージに留まらず、茨城県の名物である竜神大吊橋からのバンジージャンプに挑戦したり、ゲーム実況や歌ってみたに調整するなど若者を中心に人気を博しました。数値としてもこれまで県公式チャンネル登録者数の増加は1年で1万2000人だったところ、茨ひよりさんの登場後なんと9か月で3万人増加。県知事定例会見(URL:https://www.pref.ibaraki.jp/bugai/koho/hodo/press/19press/p190419.html##3)によると、2018年度の経済効果は約2億4000万円とも言われています。

 経済効果に注目したのは、地方自治体だけではありません。大手飲料メーカーのサントリーは早くからVtuberの宣伝効果に着目し、2018年に自社オリジナルのVtuber「燦鳥ノム」を発表・デビューさせました。通常であればこうした背景のマーケティング施策を実施した場合、自社製品の宣伝や商品紹介などを実施することがほとんどですが、「燦鳥ノム」さんの場合は全く逆。他のVtuberと何ら変わりない「歌ってみた」動画やゲーム実況といったコンテンツを展開し、Vtuberファンからも好意的に受け入れられました。結果として直接的な宣伝効果こそ得られずとも「燦鳥ノムの応援をする=サントリーの応援をする」という図式で、ファンへの間接的な宣伝となったと言えます。2021年を最後に定期的な動画投稿こそ停止されていますが、不定期でイベント参加や動画投稿を行っており、継続的にファンへの宣伝効果は続いていると言えそうです。


 まさに大きなポテンシャルを秘めていると言えるVtuber。マーケティング施策においても様々な活用法が見いだされます。会社でマーケティングにお悩みの際には、ぜひ検討する価値がある選択肢と言えるでしょう。

関連記事一覧